ソニーはFX6の発表に続き、昨年FX9とともに発表された新しいシネズームレンズ、FE C 16-35mm T3.1Gの予約注文を開始した。
このレンズはかなり前に発表されたもので、2019年9月にFX9が発表されたときにプレビューしたが、ようやく予約注文が可能となった。
下の写真のように、この新しいシネズームは、Cが付くシネズームレンズラインの3本のひとつで、最初に発売される。
FE C 16-35mm T3.1 Gシネズーム
このレンズは、当然のことながらEマウントを搭載し、16-35mm、24-70mmおよび70-200mm の3本セットのズームレンズのうち最も広角のもので、絞りはT3.1。これは非常に明るいレンズという訳ではないが、コスト、特にレンズのサイズを考慮すると合理的な選択だ。 なお、T値は数学的に計算されたF値とは異なり、F値よりも少し低い(暗い)数値になる。T3.1は大まかにF2.8に変換できる。
FE C 16-35mm T3.1シネズームはフルフレーム対応だが、フルフレームセンサーを搭載したFX9シネカメラ用に開発されたので、これは当然のことだ。そして、新しく発表されたFX6シネカメラにも対応する。T-Stopはそれほど注目すべき数値ではないが、このレンズは、ドキュメンタリー作品などフットワークを求められる撮影で有用だろう。
仕様
この新しいシネズームには、専用のシネレンズに期待される機能が備わっている。フォーカス、アイリス、ズームの3つのリング(ハードストップ付き)があり、フォーカスリングの回転角は120°で、従来の写真用レンズよりもはるかに大きい。
また、レンズには取り外し可能なサーボユニットが付属しており、ズームレバーでスムーズなズーミングができる。必要に応じて、サーボとレンズフードを取り外して、よりコンパクトにできる。
AFリングを前後にスライドさせると、AFモードとMFモードを切り替えることができる。このレンズはAFに対応しているので、マニュアルフォーカスは直結ではない。
一般的に完全なメカニカルシネレンズはパーフォーカル(焦点距離を変更するときにフォーカスシフトがない)で、ブリージング(焦点を変えた時の視野の揺らぎ)などが無い。 FE C 16-35 T3.1ズームは両方の機能を備えているが、完全なものではない。ソニーはパーフォーカルとは謳っていないが、ほぼパーフォーカルと述べている。ブリージングもうまく制御されているようだが、実用でテストする必要があるだろう。
Mount | Sony E-mount |
Format | 35 mm full frame |
Focal Length | 16mm – 35mm |
Lens Groups / Elements | 13 / 16 |
Angle of View (35 mm full-frame Horizontal) | 97° – 54° |
Maximum Aperture | T3.1 (F2.8) |
Minimum Aperture | T25 (F22) |
Aperture Blades | 11 (circular) |
Minimum Focus Distance | 0.28 m / 0.92 ft |
Maximum Magnification Ratio | 0.19x |
Zoom system | Both manual and powered |
Dimensions Diameter x Length | Φ118.4mm (4.7″) x 146.6mm (5.8″) Front diameter 114mm |
What’s in the Box | Hood Lens Front Cap Lens Rear Cap Soft Case Tripod Mount Lens Support Adapter |
レンズ構成は13群16枚。 2枚のXA(Extreme Aspherical)レンズと3枚の非球面レンズにより、歪み、曲率、収差が最小限に抑えられている。 2枚のED(超低分散)レンズが色の歪みを抑制し、光学面の高度なナノAR(反射防止)コーティングがフレアとゴーストを低減する。ソニーは、フローティングフォーカスメカニズムが動画撮影に最適化されていると述べている。
まとめ
このシネズームレンズは、万能型のレンズと言える。 AFだけでなく、マニュアルフォーカスも可能で、専用のズームサーボで操作でき、ユニットを取り外して手動でズームすることもできる。ステップアイリスとクリック解除アイリスを切り替えることも可能だ。便利だが、もちろん価格面では高価になる。
メカニカルなマニュアルシネズームは、色々なことはできないが、妥協も無い。フォーカスブリージングが皆無で、パーフォーカルで、スムーズで信頼性の高いマニュアルフォーカスを実現する。こちらも欠点はあるが、価格は安価だ。
AFであるということは、間接的なフォーカスメカニズムに依存する必要があることを意味する。これは、たとえば外部のフォーカスモーターを使用する場合、ハイエンドレンズのような直接的な機械式フォーカスメカニズムに及ばない。しかし、AFが必要な場合は、間接方式を選ばざるを得ない。
このレンズがあると、多くのレンズを持ち歩く必要がないが、多少の妥協点は容認する必要がある。たぶんソニーは、光学性能と使いやすさ(AF)を併せ持ちながら、多くの欠点がなく、非常に用途が広いスイートスポットを狙ったのだろう。今後詳細なテストの結果を待ちたい。
希望小売価格は700,000円(税別)。基になった写真用のFE 16-35mm f / 2.8GMズームレンズと比較してはるかに高価だが、両方のレンズはまったく同じ内部光学設計だ。
ソニーのウェブサイトはこちら。