ソニーのFR7は、リモートパンチルトズーム制御、内蔵NDフィルター、S-Log3、高速ハイブリッドAF、最大4K 120fpsビデオキャプチャを備えた新しいシネマラインフルフレームカメラだ。さらに、外部RAWビデオ出力が可能で、新しいコントロールパネルまたはブラウザベースのウェブインターフェースを介して制御することができる。
ライブストリーミングの普及に伴い、手頃な価格の機器への需要も大幅に増加している。ここ数年、カメラに直接ライブストリーミング機能を追加したり、手頃な価格のライブスイッチャーを導入したり、ライブ制作のための製品を提供する企業がこれまで以上に増えている。ライブやマルチカムの制作に便利な製品のひとつに、いわゆるPTZカメラがある。PTZはパン・チルト・ズームの略で、パン、チルト、ズームを遠隔操作できるカメラのことだ。
例えば、キヤノンは昨年3月にこのようなカメラを発表している。ソニーでもBRC-X1000というレンズ固定式PTZカメラがある。しかし今回同社は、フルサイズセンサーを搭載したハイエンドPTZカメラ、「ILME-FR7」を発表した。
FX6を搭載したシネマラインPTZカメラ「Sony FR7」
ソニーは、新しいFR7を「シネマラインPTZ」と定義している。このカメラは、ソニーのシネマライン(フルフレームでソニーEレンズマウント)とリモートパンチルトズーム操作の利便性を兼ね備えている。
スペックから判断すると、FR7は基本的にソニーFX6を更に小さくしたもので、エルゴノミクスが異なっているように見える。裏面照射型フルフレーム4K CMOSセンサーを搭載し、ネイティブISOは800と12.800のデュアルで、409.600(拡張ISO)まで上げることができる。
センサーは4096×2160(または3840×2160)の映像を59.94p(PALでは50p)で出力し、HFRモードでは最大4K 120fpsを達成することができる。内部記録コーデックは、以下のオプションがある。
- XAVC-I – 4:2:2 10-bit in DCI 4K, UHD, or FHD
- XAVC-L – 4:2:0 8-bit in UHD or 4:2:2 10-bit in FHD
ソニーによると、FR7のダイナミックレンジは15+ストップに達する。CineDではこのカメラのレビューユニットを受け取ったので、ラボテストでこのカメラのセンサーをテストする予定だ。
ソニーは、このカメラにHDR出力用のHLGライブガンマとHLGナチュラルガンマカーブを搭載している。また、S-Log3およびS-Cinetoneガンマカーブもある。Cine EIモードもMLUTで利用可能。顔・瞳AF検出の高速ハイブリッドAFももちろん搭載している。
ソニーFX6と同様に、FR7にも可変NDフィルターが内蔵されており、離れたところからコントロールすることができる。1/4から1/128の範囲で強弱をつけることができ、オートND機能も備えている。この小さなボディにNDを内蔵しているのを見ると、コンパクトなミラーレスカメラにもNDフィルターを内蔵する日が来ると期待したい。
内部記録用に、デュアルメモリカードスロット(CFexpress AとSDの両方を兼用)を搭載している。興味深いことに、FR7は、12G-SDIポートを介した外部記録用に16ビットRAWビデオ出力も提供している。
パワーズームレンズ
真のPTZリモートコントロールを実現するには(PTだけでなく)、ソニーのFR7はパワーズームレンズと組み合わせる必要がある。ソニーは現在、3つのフルフレームパワーズームレンズを提供している。
- ソニーFE PZ 28-135mm F4 G OSSレンズ(SELP28135G):これはFR7のキットレンズとなり、手頃な重量で一定のF4の開口部で非常に多彩なズームレンジを提供する。
- ソニーFE PZ 16-35mm F4 Gレンズ(SELP1635G):この軽量なパワーズームレンズは、超広角のアプリケーションをカバーする。
- ソニー FE C 16-35mm T3.1 レンズ(SELC1635G) – FR7は、この重い「シネマ」T3.1超広角パワーズームも扱うことができる。
FR7は、マニュアルズームレンズでも動作可能だが、ズームリモコンは失われる。ソニーは、PTコントロールが可能な最大のズームレンズは、2xエクスパンダーを搭載した新しい70-200mm F2.8 GM2であると述べている。135mm F1.8までの厳選されたFEプライムレンズもフルPT操作に対応している。
インターフェースとリモートコントロール
接続性とインターフェースに関しては、FR7は12G-SDI、HDMI、シングルモードファイバー、NDI Hx、ゲンロック、タリー、PoE++、ソニーRCPペイントコントロール(将来のファームウェアアップデート経由)を提供する。また、オーディオイン(5ピンXLR)、タイムコードイン、GPIもある。
PTZ制御は、ゆっくりとした滑らかな動きが可能。動きやカメラの位置はあらかじめプログラムしておくことができる。カメラは、ローカルネットワーク(イーサネットケーブル)またはWebブラウザーのリモートコントロールインターフェイスを介して遠隔操作できる。
Web App Remoteは、マルチカメラの監視・制御を行うためのWebベースのリモートアプリケーション。タブレットやPCからWebブラウザーだけでアクセスできる。タッチAF制御による直感的な操作に対応している。QRコードなどを読み取ることで、簡単に接続を確立することができる。
ソニーは、オプションのカメラ用コントロールパネル「RM-IP500」も発表した。イーサネットまたはGPIで接続し、PTコントロール用のジョイスティック、フォーカスやNDフィルター用のノブ、ズームロッカーなど、ソニーFR7の重要な機能をすべて物理的にコントロールできるのが特徴となっている。
価格と発売時期
新しいソニーFR7は、11月11日発売予定。レンズ付属なしモデルの希望小売価格1,320,000円。また、28-135mm F4レンズを同梱したプリバンドルキットは1,617,000円で提供する。なお、この新型PTZカメラは、9月9日〜12日にアムステルダムで開催されるIBCショーで展示される予定だ。