ソニーがラージセンサーカメラFS7の後継機となるFS7IIを発表した。(海外) FS7IIを触る機会があったので、新機能を紹介しよう。FS7から多くの点が改良されているが、驚くほどの進化ではない。
FS7IIハンズオン
2年前にFS7が発表されたときは、多くの熱い注目が集まった。ラージセンサーを持つ業務用ビデオカメラで、様々な分野で本格的な4K収録ができるカメラだったからだ。価格的にも手頃で、スタンダードな地位を確保したのは当然で、それては今でも続いている。FS7IIは、このベストセラー機の後継になる。
新機能の説明の後で、カメラを実際に触ってみることができたが、すぐに分かったことは、完全な新製品ということではなく、徹底的にブラシアップされた製品だということ。
完全な新製品や新機能を期待していた向きには少々物足りないかもしれない。
可変NDフィルター
ソニーは可変NDフィルターをX180とX160に、2015年に初めて搭載した。その後FS5にも搭載され、その便利さが広く認識されている。
可変NDフィルターはセンサーとレンズマウント間に設置された液晶フィルターである。減光量は、ダイヤルで無段階に可変でき、もちろんプリセットも可能。即ち、これを使えば被写界深度を変えずに明るさを変えることができるのだ。
この可変NDフィルターがFS7IIにも搭載されている。ユーザーからは大変便利とのレポートがある。無いと撮影できないというものではないが、あれば便利であることは間違いない。
Eマウントレバーロック
Eマウントはなかなか良いマウントだ。センサーとの距離が近いので、アダプターを介して様々なレンズをマウントすることができる。多くのレンズメーカーもEマウント対応レンズを発売しており、今やメジャーなレンズマウントのひとつである。ただ、基本的に静止画のレンズ用マウントなので、安定性の面で不安があったのと、レンズを回転してマウントしなければならないという欠点もあった。今回FS7IIに採用されたのはレバーロック付きEマウントで、これにより上記の問題点は解消されている。
この方法はPLレンズのマウントと同じで、レンズを回転してロックする代わりに、レバーを回転させてレンズをロックしている。これにより、レンズをしっかりマウントすることができるようになり、マットボックスやフォローフォーカスを使う上でも安心して操作できる。
三脚にセットしている場合でも有用で、特に大きなレンズを装着している場合は理想的なマウントと言える。ただ、FS7IIは多くの場合ハンドヘルドで使用されると思われるが、この場合はちょっと面倒なことになる。レンズを回転しないのは良いのだが、レンズを支えながらロックレバーを回転してロックリリースボタンを押すのは、一人では難しいのだ。
このような改善をしてくれるのは大変喜ばしいのだが、それはアシスタントがいる場合であって、一人で撮影しているユーザーには必ずしも歓迎できるものではないだろう。
その他の改善点
これらの2点が、FS7から変わった大きな点で、カメラ内部はほとんど同じと言える。なお、カラースペースオプション(BT.2020)が追加されているが、FS7にも後日ファームウエアのアップデートで可能となるのかもしれない。センサーは同じsuper35mmセンサーで、60fpsまでの4K DCI、180fpsのHD記録、XAVC-I記録と言った点は、FS7から変わっていない。
外観では、更に幾つかの改良点がある。
電源スイッチの横にLEDランプを設置: On/Offが視認できるようになった
グリップの延長アームのネジが指で締められるようになった: FS7ではドライバーが必要だった
アサイナブルユーザーボタンが10個に: FS7では6個だった
XQDカードの飛び出し長が4.3mm長くなった: カード取り出し時に掴みやすくなった
ビューファインダールーペの支持が変更された: 2個あった支持部品が1個になり取り付けやすくなった。また折り畳み式フードが追加されている
LCDモニターのアタッチメントが改良されている: LCDモニターのロッドが丸型から四角型に変更され、角度変更時にLCDモニターが倒れこまないようになった。ただ、大きなルーペを肩担ぎで使うユーザーにはロッドが短すぎる。
FS7IIは買いか?
FS7IIの価格は10,000ドルとなっている。(カメラボディのみ) FS7と比べると、1500ドル高いことになる。今回のモデルチェンジを物足りなく思うユーザーは少なくないだろう。今回の発表会の参加者も同じ思いだったのかもしれない。
とはいうものの、新しいカメラの購入を検討しているユーザーは多いだろう。悩むところだが、ひとつの選択肢はEマウントのレバーロックの有無を考えてみてはどうだろうか。一人で撮影する場合、レバーロックが問題とならないか確認すると良いだろう。
また、新しく開発されたレンズE PZ 18-110mm F4も検討に値する。これは9月に発表されたもので、28-135mmの後継になる。FS7IIのキットレンズでもあるが、もちろんFS7にも使用可能だ。FS7IIの同梱レンズとして購入する場合は、単独で購入するより3500ドル安価になる。