新しく発売されたソニーFX30(記事はこちら)やその他のソニーシネラインデジタルカメラのオーナーに向け、ソニーがS-LogモードとシネEIを、FX30を例にわかりやすく解説したチュートリアルビデオを公開した。
映画制作を始めたばかりの人にとって、WYSIWYG(What-you-see-is-what-you-get)ワークフローは、ビデオを撮影するための最も簡単なアプローチかもしれない。カメラの画面やビューファインダーに表示されているものが、そのまま記録されるからだ。
しかし、このモード(通常、いわゆるRec.709規格)では、得られる画像のラティチュードがかなり制限される。カメラセンサーはもっと広い範囲を撮影できるのに、Rec.709仕様に人為的に制限されてしまう。これではカメラのポテンシャルをフルに引き出すことはできない。
では、もっといい方法があるのでは?
ソニーFX30は、S-Log3モードと呼ばれる対数的にセンサーデータを記録するモードがある。これはS-Log3モードと呼ばれ、画像は少し奇妙で平坦に見えるが、Rec.709よりもはるかに広いダイナミックレンジを持っている。
ソニーFX30とS-Log3
ただし、S-Log3での撮影は、少なくとも色に関しては若干の後処理が必要となる。前述したように、S-Log3のガンマカーブで撮影した映像は、やや白っぽくくすんだ印象になる。これをテレビのデファクトスタンダードであるRec.709に近づけるには、少なくともLUT(ルックアップテーブル)を適用するか、さらに言えば、手動で色補正やグレーディングを行う必要がある。これは少し手間だが、Rec.709で記録するよりもはるかに良い結果が得られる。
これは、画像のさまざまな部分(ハイライト、シャドー、中間調など)を個別にコントロールできるため、例えばシャドーをつぶさずにハイライトのクリッピングを防ぐことができるからだ。基本的には、最終的なRec.709の画像を手動で構成することができる。
S-Log3モードで撮影する場合、FX30などのカメラでは、フラットで低コントラストな画像に、いわゆるモニターLUTを重ねることができる(他のカメラにも適用される)。これにより、広いダイナミックレンジを持つS-Log3ビデオを記録しながら、適切なRec.709画像をモニターして、さらに後処理をすることができる。
Cine EI モード
FX30(および他のSony Cine Lineカメラ)のS-Log3モードではISO設定を変更できるが、Cine EI(Exposure Index)モードではISOを変更することができない。その代わり、ラチチュードとノイズの点で最高のパフォーマンスを発揮する固定値、できればカメラのネイティブベースISOに設定される。FX30は、例えば、明るい環境用のISO 800と低光量シナリオ用のISO 2500の2つのネイティブISOを備えている。
このCine EIモードは、スタジオ環境に適しており、あらゆるシーンで照明を正確に調整することができる。Cine EIモードでは、特定の画像の露出を意図的にアンダーまたはオーバーにし、それに応じてEI設定を下げたり上げたりすることで補正することを目的としている。その結果は、モニターLUTで確認することができる。
その後、ポストプロダクションでCine EIのメタデータをモニターLUTのメタデータとともに収録映像に自動的に適用し、撮影現場と同じような映像に仕上げることができる。しかし、結果として得られる画像は、ダイナミックレンジが広くなり、特定のカメラとそのセンサーに対して可能な限り低いノイズで再生されるようになる。
このように、 FX30やその他のSony Cine Lineカメラのこれらの高度な機能を使用することで、最高の結果を得ることができ、必要な後処理を効率的に処理するためのツールを提供することができる。
もし、これらのワークフローが初めてであれば、ぜひ試してみて、慣れておくことをお勧めする。単なるRec.709ファイルよりも大きな自由度を提供するビデオファイルの可能性を完全に受け入れることができれば、将来のプロジェクトで利益を得ることができる。
リンク ソニーFX30ウェブサイト