ソニーは今月出荷を予定しているVENICEに、ISO500とISO2500のDual Base ISOを搭載することを発表した。これはパナソニックが Varicam 35に搭載しているDual Native ISOと同じコンセプトのものと考えられる。
ファームウエアにより機能を段階的に追加
ソニーは、ファームウエアのアップデートで、VENICEに様々な機能を段階的に搭載していく予定で、最初のファームウェアバージョンは1.0。Ver.2.0は2018年8月にリリース予定で、Ver.3.0は2019年初頭に予定されている。VENICEの主な機能については、こちらの記事を参照いただきたい。
フルフレーム撮影機能とDual Base ISOは最初からサポート
既にレポートしているとおり、フルフレーム撮影機能は後で追加する予定だったが、Ver.1.0から24x36mmフルフレーム記録をサポートすることとなった。(有料アップグレード) また、新しい機能も発表された。そのひとつが “Dual Base ISO”モード。従来のネイティブISO500に加えISO2500をサポートし、15stop+のワイドラチチュードを実現する。ソニーによれば、これは低照度での画質を改善し、18%のミドルグレー上下で6stopから9stopまでの優れたダイナミックレンジを達成するとしている。パナソニックのプロカメララインナップ、VARICAM、VARICAM LT、EVA1でもDual Native ISO機能が搭載されているが、VEGASにも搭載されることになる。
VENICEのもう一つの特長は、内蔵の8ステップ光学式NDフィルターで、これはリモートコントロール可能なサーボ機構を備えている。また、新しく採用されたカラーサイエンスは、自然な発色と広いダイナミックレンジの柔らかい色調のフィルムルックを実現している。
なお、VENICEカメラメニューシミュレーター(リンクは英語サイト)なるものが開発された。これは、カメラオペレーターがカメラの操作に慣れるためのオンラインツールで、実際にカメラを使用する前にすべてのメニューを確認することができる。
ファームウェアロードマップ
Ver.2.0の主な追加機能
- イメージャーモード – 4K 6:5アナモフィック、6K 1.85:1、6K 17:9、6K 3:2 25p、6K 3:2カメラ内再生、4K 4:3 25p 29p
- サポートレンズマウント – Eマウント(レバーロックタイプ)
- 記録フォーマット – Apple ProRes
- 同時記録- RAW&Apple ProRes
- 撮影機能 – Select FPS
- モニター出力機能 – プリセットMLUT、ユーザー3DLUT
- 撮影アシスト機能 – サラウンドビュー、ドットバイドット拡大フォーカス、オートホワイトバランス、ハイ・ロー・キー、ファインダー内のフォルスカラー
- ハードウェア – カメラマンサイドグリップボタン
- ネットワーク – 有線LANコントロール(一部)
Ver.3.0の主な追加機能
- イメージャーモード – 5.7K 16:9、6K 2.39:1
- 同時記録 – XAVC 4K / QFHD&Apple ProResプロキシ、RAW / X-OCN&XAVC 4K / QFHD
- 撮影機能 – ペイントメニュー(カスタムモード)、キャッシュレック(AXS、SxS)
- モニター出力機能 – 12G-SDI(4K 50 / 60p)
- 撮影機能 – フォルスカラー
- ハードウェア – リモートS700プロトコル、12ピンレンズリモート
- ネットワーク機能 – 有線LANコントロール(FULL MENU)、無線LANコントロール(CBK-WA02)
VENICEは、ソニーのRAW Viewer v3をはじめ、Filmight Baselight v5、Davinci Resolve v14.3、Assimilate Scratch v8.6などのサードパーティベンダーがサポートしている。
ソニーはユーザーからのフィードバックに基づいて多くの機能を実装しようとしているようだ。しかし、要求度が高いのはハイフレームレート記録機能で、これに関して同社は将来の検討事項としている。