これまではライブ放送を制作するには、ビデオスイッチャーや送信機などの巨大な設備が必要だった。ソニーの新しいバーチャルプロダクションサービスは、このような高価で巨大な設備がなくても、個人で放送できる。必要なのは、複数のカメラとウェブブラウザだけだ。ライブ放送がいとも簡単にできてしまう。
ソニーは、巨大な中継車や高価な機器を必要とする大規模なライブ制作ではなく、ローリーグスポーツやアマチュアバンドのライブイベントなど、予算と人材が限られたライブ制作用のシステムを発表した。新しいバーチャルプロダクションサービスは、すべての必要なハードウェアをクラウド上に再配置し、本格的なビデオスイッチャーの機能を提供する。ラップトップとカメラを接続するだけで、すべての設定が完了する。
ソニーバーチャルプロダクションサービスの概要
この新しいサービスは、クラウド内に構築され、AWS(Amazon Web Services)によって配信される。これにより、マルチカメラのライブ放送が、すべての人にとって現実のものとなる。ソニーのサービスは、ブラウザ内で簡単に操作できるインターフェースを提供する。システムは最大6台のカメラストリームを同時に処理できるが、唯一4G搭載のカメラが必要となる。
現時点では、このシステムの機能は本格的な機材と比較すると制限されるが、ラップトップだけでマルチカムライブ放送を行える。複雑で高価な機材は必要なく、クラウドに接続できる。あとは簡単なユーザーインターフェイスで操作するだけだ。
結果として得られるライブストリームは、Youtube、Facebook Liveなどのサービスで直接放送できる。さらに、ソニーのバーチャルプロダクションサービスには、サービス品質機能が組み込まれているため、途中でパケットが失われても高品質のストリームを確保できる。また、万一ビデオソースから入ってくる映像が中断された場合、システムは別のソースやグラフィックに切り替えることができる。更にラップトップがクラッシュした場合、再起動するまで中断することなくアクティブなストリームが継続して流される。
特長と制限事項
カメラは最大6台接続でき、必要なすべてのビデオ処理は、AWSのクラウド上で実行される。カメラには唯一、インターネットアップストリームモジュール(3G / 4G / LTE)が必要となる。ソニーのカメラには内蔵のものもあるが、外付けのものでも構わない。
カメラは最大6台接続でき、必要なすべてのビデオ処理は、AWSのクラウド上で実行される。カメラには唯一、インターネットアップストリームモジュール(3G / 4G / LTE)が必要となる。ソニーのカメラには内蔵のものもあるが、外付けのものでも構わない。
アプリケーションは、ピクチャインピクチャ、オーバーレイ、ロゴ挿入、トランジションなど、一般的なビデオスイッチャーの機能を提供する。専用のオーディオミキシングタブもある。
価格
このサービスにはいくつかのプランが用意されており、必要に応じて選択することができる。 4時間のライブ放送は月額300ユーロ、7時間では月額700ユーロとなっている。さらに長時間のサービスが必要な場合は、ソニーに直接問い合わせる必要がある。
バーチャルプロダクションサービスは、2018年9月ごろに欧州で発売される予定だが、すでにAlpenbrevetでレッドブルが使用している。このレースでは、低出力のバイクのみが許可され、最高速度は約20MPH(約32Km/h)。楽しいレースだが、これを従来のシステムでFacebookやYoutubeにライブ配信するのは現実的ではなかった。ソニーのバーチャルプロダクションサービスは、このようなイベントには最適といえる。
ライブ配信には、カメラ、ラップトップ、インターネットアップリンクだけあれば良い。これだけでプロのライブ放送に遜色ない放送ができるのだ。このようなサービスは、今後増えていくだろう。