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サンダンス映画祭2019 - Ante Cheng監督に聞く

サンダンス映画祭2019 - Ante Cheng監督に聞く

撮影監督のAnte Cheng2017年のフェスティバルで長編映画「Gook」で有名になり、今やサンダンス映画祭では観客ではない。彼と監督のJustin Chonは、2019年は『Ms. Purple」で観客の心をつかんだ。

Teddy Lee in Ms. Purple Image courtesy of the Sundance Institute.

  • 撮影監督:Ante Cheng
  • 映画:Ms. Purple (Justin Chon監督)
  • カテゴリー:U.S. Dramatic Competition
  • カメラ:Alexa MINI
  • レンズ:Todd-ao 55 mmアナモフィックとキヤノン300m
  • 撮影概念:感情を表す映像のルック

cinema5D:Alexa MINIを使った理由は何ですか?

AC:私たちはPurpleの表現力豊かなビジュアルを、インディーズ制作に適した効率的なシステムにしたいと考えていました。そこで私達はハンドヘルドでの撮影やEVFの便利さ、あるいは内蔵NDが搭載されたAlexa MINIを選びました。私たちは1280 ISOでの細かい粒子が好みで、富士フイルムストックLUTをカスタムして使っています。

Behind the scenes of Ms. Purple. Photo Courtesy of Ante Cheng.

cinema5D:レンズに関してはいかがですか?

AC:レンズテストで、Todd-ao 55mmアナモフィックレンズに出会いましたが、顔が美しいレンズでした。画像の特性は、絞りによって異なりますのでシーンの雰囲気に合わせて設定しました。焦点距離が俳優に合わせて直感的に動けるので最適です。我々は、更に短い焦点距離のため、Leica Macroluxジオプターも使いました。撮影の95%はTodd-ao 55 mmで、残りの5%はキヤノン300 mmを使っています。望遠レンズは遠近感を抑えますので、通りの向こうの群衆を撮影するのに適していました。

Tiffany Chu appears in Ms. Purple by Justin Chon. Courtesy of Sundance Institute | photo by Ante Cheng.

cinema5D:あなたは以前「Gook」でJustin Chon監督と組み、2017年のサンダンスオーディエンスアワードを受賞しました。今回の「Ms. Purple」でも一緒に仕事されましたが、どのようにコラボされたのですか?

AC:準備では、私たちは意見をすり合わせます。Justinは、既存のスタイルを模倣するのではなく、私たち独自の表現を見せたいと考えていました。私たちは「Gook」を振り返り、カメラテストを行い、何をさらに推し進めることができるかを考えました。Justinと私は、私たちが本物のインディー映画を作り、様々な可能性を持っていることも知っていました。それは本能と感性に帰着します。撮影した後、Justinと映像を見て感じるものがあれば、次に進みます。

Tiffany Chu appears in Ms. Purple by Justin Chon. Courtesy of Sundance Institute | photo by Ante Cheng

cinema5D:コラボレーションで生まれたユニークな映像はありますか?

AC:私たちの作品の「Gook」での手法に加え、Justinとキャストは何度もリハーサルを重ねました。当日は、リハーサルなしで最初のテイクを撮りました。それから、他にどのような角度のショットが必要なのかについて考えました。撮影を通してショットリストは使いませんでした。

cinema5D:ショットリストがないのですか?ストーリーボードはありましたか?どのようにして撮影予定を組んだのですか?

AC:プロデューサーのAlex Chiと1st ADのRicardo Herreraが予定を組み立てました。私達は撮影期間中ロケーションハウスを確保していましたので、比較的柔軟なスケジューリングができたのです。正直ショットリストもストーリーボードもありません。 「簡単なシーンをまず撮影し、複雑で感情的なシーンには多くの時間を割り当てる」という方法は正しかったと思います。私たちは通常、かなりのスピードで動きます。映像やパフォーマンスのシーンで問題が発生した場合は、スケジュールをあまり気にすることなく、まったく異なるアプローチを試すことができます。これはインディーズプロダクションの良いところだと思います。

cinema5D:照明についてはいかがですか?

AC:豊かな表現になるような照明スタイルを目指しました。俳優とカメラが自由に動けることを最優先にしました。私たちはカラーとテクスチャのパレットを使い、Bo Koung Shin(プロダクションデザイナー)とEunice Jera Lee(コスチュームデザイナー)に加わってもらってカメラテストをしました。照明機材はSkypanels、Litemats、Quasars、Joleko 800、そしてSource 4で構成され、比較的簡単な照明システムでした。最も高いワット数のユニットはHazerです。絞りに関してポイントは、1stopアンダーで撮ることから始めました。私たちは屋外のシーンを撮影するとき、最適な天気を待つという贅沢ができました。これらの要因が、今回の映画にふさわしい自然なルックの向上につながったと思います。

cinema5D:合計の撮影日数は何日ですか?

AC:36日です。

cinema5D:クルーは何名でしたか?

AC:その日の撮影に応じて、クルーの人数を調整します。カメラが2人、G&Eで5人が最多で、1st AC1名という時もありました。

cinema5D:何か特別な問題点といったことはありましたか?

AC:クルーや機材の制限があり、撮影スケジュールを非常に長くとりました。私達はまたほとんどストーリーの時系列に従って撮影しました。第3幕くらいになると、全て使い果たしてしまったのではないかという心配がありましたが、ストーリー、キャスト、クルー、そして自分自身を信頼することで、そのような心配を払しょくしました。 1st ACのKayla TongとSamuel Kimや皆に感謝します。彼らの努力のおかげです。

Teddy Lee and Tiffany Chu appear in Ms. Purple by Justin Chon. Courtesy of Sundance Institute | photo by Ante Cheng

cinema5D:今後の映画制作についてどのように考えていますか?

AC:私たちは映画撮影の素晴らしい時代にいると思います。特にLAでは最先端の機材を手に入れることができます。様々なカメラ、レンズ、ライトの組み合わせは、多くの創造的な可能性を秘めています。 Justinと私は、16mmフィルム、デジタル、そして私たちの次のプロジェクトのためのユニークな機材について議論しています。

cinema5D:あなたとJustinはどのように出会ったのですか?今後の方針は?

AC:私はSpielberg(スティーヴン・スピルバーグ監督)/Kaminski(ヤヌス・カミンスキー撮影監督)、WKW(ウォン・カーウァイ監督)/Doyle(クリストファー・ドイル撮影監督)、Aronofsky(ダーレン・アロノフスキー監督)/Libatique(マシュー・リバティーク撮影監督)、Nolan(クリストファー・ノーラン監督)/Pfister(ウォーリー・フィスター撮影監督)の映画を観て育ちました。私は彼らの視覚スタイルの進化、そして彼らのキャリアを通して家族であるような感覚を覚えます。Justinと私は共通の友人のプロジェクトで出会いました。彼は役者を目指しており、そして私はDPでした。「Ms. Purple」を二人で作れたことを誇りに思います。これは「Gook」以降、映画制作者や人としてどのように成長してきたかを示していると思います。私たちは共同制作を続けるために一生懸命取り組んでいます。

Ante Chengは台北出身でロサンゼルスを拠点とする撮影監督。南カリフォルニア大学でMFA(Master of Fine Arts:美術学修士号)を取得し、2018年にProject Involve for Film Independentとのフェローシップを取得した。友人で監督のJustin Chonとの仕事以外では、Sam Bailey監督の「East of La Brea」の撮影監督を務めている。

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