いわゆるソープオペラ（Soap Opera）効果という言葉を聞いたことがあるだろうか？ テレビの画質設定の一つだが、通常ほとんどのテレビでデフォルトで有効になっており、映画作品を安物のドラマのように見せてしまう。これは何故だろうか？
ソープオペラ効果とは、市販されているテレビの画質設定のひとつで、初期設定で有効になっていることが多い。この設定を有効にすると、フレーム間に補完フレームを自動的に挿入し映像をスムースな動きに見せる。動きが速いスポーツなどの場合には有効だが、映画などに適用すると、作品の持ち味であるシルキーなモーションブラーが消されてしまう。映画を見る場合は、設定を変更するのが理想的だ。
Photograph credit: Tina Rataj-Berard | unsplash.com
ソープオペラ効果とは
テレビの効能書きでは、この効果は、Auto Motion Plus、Smooth Motion、Enhanced Motionなど、いかにも効能があるような名前が付けられている。多くの場合、テレビメーカーはこの機能をデフォルトで有効にして出荷している。映画のルック・アンド・フィールにこだわるユーザーは少ないためだ。
技術的には、テレビは受信フレームを分析し、フレームがどのように見えるかを計算する。標準的な映画は1秒間に24フレームだが、これを48フレーム、あるいはそれ以上のフレームにする。結果は、シャープで鮮明な画像になってしまう。おそらく多くのユーザーは「美しい」と感じるだろう。この処理をしないと、動きの速い被写体はブレた感じになってしまうからだ。
Photograph credit: Tim Mossholder | unsplash.com
しかし、これは両刃の剣でもある。確かにそれはスポーツやニュースなど映画以外のコンテンツに関しては非常に有用な機能だ。しかし一方では、それはポップコーン片手に楽しもうとしている映画の夜を台無しにする可能性を秘めている。それは、90年代の民生用ビデオカメラで撮影されたかのように、すべてのものをシャキッと見せてしまうのだ。
テレビはコンテンツの種類を認識できないので、そのようなソープオペラルックを自動的にオフにすることはできない。この機能はデフォルトで有効になっており、メニュー上の機能の名称も分かりにくいため、誰も気に留めない。しかしユーザーはメーカーを責めても仕方ないだろう。恐らく多くの人は映画をどのように見るべきかを気にしていないだろう。新しいテレビのスイッチを入れれば、その鮮明な映像にすぐに慣れてしまう。
対抗する動き
Gizmodoの関係者によると、このデフォルト設定されたソープオペラ効果に対する交渉が進んでいる。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー（原題：Guardians of the Galaxy）のハリウッド監督James Gunn氏などの有名監督と俳優たちは、ソープオペラ効果モードをデフォルトで有効にしないようテレビメーカーと交渉している。
しかし、この交渉には参加していない監督もいる。ピーター・ジャクソン監督はホビット三部作で48pのHFRで撮影することによって、Motion Plusルックを積極的に利用している。彼は新しいフロンティアを受け入れることを選択したのだが、これにより、彼は批評家と観客に様々な感情を残した。
Photograph credit: Ahmet Yalçınkaya | unsplash.com
私も個人的にソープオペラ効果に遭遇したことがある。新しいサムスンの液晶テレビでウォッチメン（原題：Watchmen）を楽しんでいるとき、私はすぐにそれが実際の映像ではなく、ビデオのように見えることに気付いた。なんと醜い映像か！このモードを無効にすべくメニューを探したが、その設定はメニューの奥深くにあり、見つけるのが大変だった。私はメニューを見つけることができたが、この状況は誰にとっても良くないと思う。
すべてのテレビメーカーは、この設定が何であるかを明確にする必要がある。ソープオペラ効果はそれ自体悪いものではないが、デフォルトで有効にすべきではない。あるいは、モードを簡単に切り替えることができるようにするのも一つの解決策だろう。私の提案は、画面を分割し、一方の面で動きの補間を有効にし、もう一方の面では無効にすることだ。見るコンテンツによって、好ましいルックを選択することができる。簡単な方法ではないだろうか。
