DJI Ronin-Sレビュー
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DJIのハンドヘルドジンバルRonin-Sは既に出荷されており、多くの人が使い始めている。Ronin-Sはこれまでに発売されたハンドヘルドジンバルの中でも、最も優秀なもののひとつだ。そこで今回は、Ronin-Sのレビューを行った。
片手持ちジンバルの意義
ジンバルはここ数年、映像制作のあらゆる面で使用されてきた。私も個人的に長い間使用している。実際、最初のハンドヘルドジンバルフリーホイールMoVi M10は、発表直後に購入した。私はC300をマウントして使用したが、その性能、両手持ちのデザインは快適だった。しかし小型カメラには最適と言えなかったので、小型カメラ用のMoVi M5を手に入れた。そして今日では、このジンバルにα7S IIを乗せて撮影を行っている。
もちろん、DJIはRonin、Ronin 2、Ronin Mの両手持ちジンバルを長年に渡って商品化しているが、MoVi M10やM5よりはるかに重いので、頻繁に使うことは無い。
私は両手持ちの軽量セットアップが好きなので、片手持ちジンバルを使用する理由を考えたことはあまり無かった。
ただ、実際には、それらは本当の意味での片手持ちジンバルではない。安定させるため、常にもう片方の手を添える必要があるからだ。いずれにせよ、各社から実にさまざまな片手ジンバルがリリースされており、DJIはこの分野では後れをとっていた。
パッケージ
Ronin-Sは、DJIのドローンなどと同様、手軽な発泡スチロールケースに入っている。全てのパーツが一つのケースに入っているのは良いが、セットアップするには、全てのパーツを組み立てなければならない。できれば、セットアップした状態で収納できるケースが欲しいところだ。
ただ、本体や、電池、ジンバルなどを組み合わせて使える状態にするのは、それほど時間がかかるものではない。
後部のロールモーターは角度を付けて取り付けられているが、これは同じような構造の他のジンバルよりも、更に下側になっている。もちろんカメラのスクリーンを見やすくするための構造だが、より見やすくなっている。
重量
重さについては、先はRoninの重さについて言及したが、残念ながらRonin-Sも軽量ではない。 重量は1.86Kgで、Tilta Gravityなどと並んで、一番重いジンバルの一つだ。 Ronin-2の5.5Kgと比べると軽量ではあるが、片手持ちには重すぎる。もちろん、実際の撮影ではカメラの重量も付加される。
ただ、私がイタリアとスイスの撮影でRonin-Sを使用したとき、重さはそれほど気にならなかった。私は1日中歩き回り、使用しない場合はスタンドに立てておくことができた。また両手持ちのジンバルよりもはるかに目立たないので、群衆の中での撮影時でも人目が気になることはなかった。
バッテリー
Ronin-Sが重い理由の1つは、強力なバッテリーが内蔵されているため。 DJIによると、このバッテリーはグリップを兼ねており、最大12時間持続する。1週間以上使ってみて、その間に2回だけ充電したが、このスペックは嘘ではないことが証明された。DJIはこのバッテリー性能について自信を持っており、現在は別売での販売をしていない。
しかし、これだけ持続時間が長いなら、バッテリーの容量を半分にして、重量を軽くしたほうが良かったのではないだろうか。フルに撮影する日でも12時間も撮影することはめったにない。
バランシング
Ronin-SはManfrottoスタイルのカメラプレートを使用している。もちろん、3つの軸のバランスをとる必要があるが、大きなレバーがあり思ったほどではない。バランスが取れれば、すぐに撮影に入れる。
強力なモーター
Ronin-Sの重さのもう一つの理由は、非常に強力なブラシレスモーターだ。それはかなり大きく、約3.6キロの耐荷重がある。その耐荷重と角度のあるデザインにより、キヤノンC200やFS5にも対応できる。しかし小さなカメラを乗せている場合は、ジンバルが完全にバランスが取れていない場合でも、モーターでスタビライズできてしまうし、バッテリーやレンズを交換しても、やはりモーターでカバーできてしまうという利点がある。これは実は重要なことで、いちいちバランスを取り直すことを考えると、時間を節約できることになる。更に最大75km / hの風速下でも使える。私は数年前にMoVi M10をヘリコプターで使用したが、強風のためうまく行かなかった。Ronin-S ではRonin-2と同様、問題なく使えるだろう。
なお、電源ボタンを2回タップすることでモーターを一時停止することができるので、セットアップを変更するときに完全に電源を切る必要はない。
Roninアプリ
RoninアプリはiOSとAndroidに対応しているが、大きな特長は、「バランステスト」機能だ。バランスが適切に取れているか、何かを変更する必要があるかを教えてくれる。
基本操作モード
3つのモードがあり、Mボタンを使用して切り替えることができる。 Roninアプリでは、さまざまな機能をプリセットすることができる。私はM1を通常のフォローモードに設定している。これは、通常の使用時に手ぶれを防ぐ基本的なモード。 M2は、速い動きに対応するモードだ。早く動いても、スムースな映像が撮れるのには驚く。
M3は無制限回転モードに設定した。通常のカメラ機器では難しい動きで、特別なものだ、このモードに設定するには、アプリでコントロール設定に入り、チャンネル3をロールに、チャンネル2をN / Aに設定する。fleshlightモードになったら、ジョイスティックを倒すと、無制限のロールを簡単に実行できる。
ジョイスティック
ジョイスティックは、非常に便利で繊細な操作ができる。直感的に作業することができ、様々な動きをコントロールすることができる。
トリガーボタン
Ronin-Sにはさまざまな機能を持つトリガーボタンが用意されている。ダブルタップすると、どのような位置からでもカメラをリセットして前面に向けることができる。3回タップすると、自分撮りができる。
トリガーボタンを押し続けると、ジンバルのパン/チルト軸がロックされる。これは、カメラを一方向に固定したい場合に便利だ。
スポーツモード
Mボタンを押し続けると、スポーツモードになる。カメラは俊敏に指定した方向を向く。できるだけ早く特定の方向にセットする必要がある場合に便利。
Roninアプリの機能
アプリケーションの設定で、最も重要な設定について書いておこう。詳細については、上のYouTubeのチュートリアルをご覧いただきたい。アプリの主要な機能を紹介している。
ユーザー設定に、ジンバルの3つのモードとすべての設定をアサインすることができる。”User”ではなく “M”と呼ぶ方が分かりやすいかもしれない。
モーターパラメータでは、必要に応じて3つの軸のすべてのモーターを詳細に微調整することができる。 なお、Auto-Tuneは現在の設定で最良の結果を得ることができ、撮影前に行うことを強くお勧めする。
SmoothTrackは、ジンバルがユーザーの動きに追随するとき、フォローモードのデフォルト機能を呼び出すもの。これを任意の方向に切り替えて、軸をロックすることができる。
またプッシュパン機能を有効にすると、Ronin-Sの電源が入っている場合でも手動で軸を変えることができる。これは実に有用な機能で、他の多くのモデルではサポートされていない。なぜなら、バランスを崩してしまうからだ。
「モーション」の設定では、Ronin-Sが動きにどれくらい速く反応するか、そしてその動きがどのくらい滑らかになるかを各軸ごとに設定できる。
まとめ
要約すると、Ronin-Sはこれまで私が使った中で最も特筆できる片手持ちジンバルだ。操作は非常に直感的で、事前知識が無くてもすぐに使うことができるだろう。他のジンバルでここまで完成度が高いものは少ない。
ジンバル技術は、ここ数年で明らかに進化した。このジンバルには、手放せないスマートな機能が多く搭載されている。Roninアプリで、その機能を使いこなすことができる。個人的にはRonin-S用のデュアルハンドルオプションを要望したい。同社はその計画があることを発表しているが、車載用マウントに関する時期は不明だ。
Ronin-Sは92,800 円(税込)で、低価格の面でも注目に値する。機能や工作品質に関しても、プロの映画制作者には納得のいくものだ。ジンバルの購入を考えているなら、Ronin-Sは最適な候補の一つだろう。なぜなら、ハンドヘルドでは難しかったショットを撮影できるからだ。
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