UlanziのDOFアダプターはスマートフォンで被写界深度の浅い映像が撮れるアダプターだ。スマートフォンだけでも印象的なポートレート撮影ができるが、このアダプターにより更に本格的なポートレート撮影ができる。
Ulanziは、スマートフォンで写真撮影をするためのさまざまなアクセサリーを作っている。最近では、Beastgrip DOF MK2がスマートフォン用の唯一のDOFアダプターだった。新しいUlanzi DOFアダプターは、約半額になって発売された新製品だ。
筆者はイスタンブールでこのDOFアダプターを使用して1週間ほど撮影したので、レビューを近くリリースしたい。Beastgripを使用したことはなく、直接比較することはできないが、Ulanzi DOFアダプターの詳細をお伝えしたい。
Ulanzi DOFアダプターの詳細
すべてのDOFアダプターの原理はほぼ同じだ。フルフレームレンズが、画像を(逆さまに)フォーカシングスクリーンに投影し、反対側からスマートフォンのカメラがこの投影画像を撮影する。
即ちシンプルな光学アダプターで、フォーカシングスクリーンがフルフレームレンズとスマートフォンのカメラレンズの間にある。スマートフォンのカメラが焦点を合わせることができるように、フォーカシングスクリーンは適切な距離に配置され、レンズマウントに対して正しいフランジ焦点距離に配置される。撮影する画像の品質は、アダプターのフォーカシングスクリーンの種類と品質、および使用しているレンズによって異なる。
このアダプターには電子機器が含まれておらず、完全にマニュアルのレンズで、機械式の絞りリングとフォーカスリングが付いている。
Ulanzi DOFアダプターは、Ulanzi独自の金属製スマートフォンケージに17mmスレッドで取り付けるが、レンズ用にはソニーのEマウントを備えている。手動レンズが必要であることを考えると、このレンズマウントの選択は不思議かもしれない。しかしEマウントは、他のほとんどのレンズマウントに対応できるため、むしろ理にかなった選択だろう。フランジの焦点距離が短いため、キヤノンEF、ビンテージレンズマウント、シネマPLにも対応できる。新旧多くのマニュアルレンズを使用することができるのだ。
カメラ構成
テストには、iPhone XS Max用Ulanziアルミニウムスマートフォンケージ(11 Pro Maxのバージョンはまだ出荷されていない)、Ulanzi DOFアダプター、M42 to Sony Eマウントアダプター、およびHelios 44-2レンズを使用した。
実用性
Ulanzi DOFアダプター自体は非常にコンパクトだが、レンズがあるのでシステムとしては小さくならない。特に大きなプライムレンズやズームレンズを使用している場合は、スマートフォン本体よりも重くなってしまう。バランス的にDOFアダプターのストレスを軽減するには、DOFアダプター自体の取り付け脚を使用して取り付ける必要がある。
結局スマートフォンで撮影することの最大の利点である手軽さは失われてしまう。
画質
このアダプターを使用すると全体的な画質と解像度が低下するため、浅い被写界深度とのトレードオフになる。しかし浅い被写界深度の映像そのものに価値があるため、意味がないということではない。
フォーカシングスクリーン自体によって決定される解像度の制限と、フレームの端の収差は注意すべき点だろう。ただし、上の写真のようにフレームの端をぼかすと、ほとんどの収差を目立たなくすることができる。
解像度については、FHDと4Kの両方でテストしたが、4Kではそのメリットは感じられない。 4Kでは、シャープネスとディテールがFHDと同じだ。 なおFHD で撮ったものを4Kにアップスケールすると、4Kで記録されたものと同じように見えるが、これはフォーカシングスクリーンの制限によるものだろう。
フォーカスされた被写体とボケを組み合わせると、やわらかく、有機的で、質感のある映像になる。結果はそれなりに美しいが、カメラ本来の映像とは異なる。
撮影可能な明るさ
アダプターを使用すると光量が減少するため、低照度な撮影には向いていない。しかし日中なら、曇りでも十分撮影できる。遅いシャッタースピードが必要な場合は、NDを使用しなければならないほどだ。
最も暗い状況での撮影は、午後遅くに、高い壁と絡み合ったブドウの木に囲まれた小さな通りの日陰だった。あまり光がなかったが、とりあえず撮影できた。
手振れ補正
もちろん手振れ補正機能は付いていない。三脚は必需品だ。また手持ち撮影には向かない。なおジンバルでの使用は試していない。
まとめ
映画のようなショットや、ビンテージレンズで撮影するなら、Ulanzi DOFアダプターは有用だろう。それなりに雰囲気の映像が撮れるが、完璧な映像からは程遠いものではある。高解像度でシャープな映像は全く期待できない。しかし、価格を含め、簡単に浅い被写界深度の映像をスマートフォンで撮る手段としては有用と言える。
近く、このアダプターで撮影したビデオとレビューをリリースする予定だ。