新しいMacBookProの発表を受けて、AppleはFinal Cut ProとLogic Proのアップデートを行った。新しいMacBook Proに搭載されているM1 ProおよびM1 Maxチップに対応した新機能と最適化が施された。新しいハードウェアがまだ発売されていないので、性能をテストすることはできないが、Final Cut ProとLogic Proのアップデートには、興味深い新機能がある。
Logic Pro 10.7の新機能
Logic Proはプロオーディオソフトウェアで、ドルビーアトモス音楽ファイルとして楽曲を作成・書き出しできるようになった。これらはApple Musicの空間オーディオと互換性がある。既存のステレオプロジェクトは、新しいミキサーを使ってドルビーアトモスに変換できる。13種類のプラグインが更新され、ドルビーアトモスのサラウンドチャンネルに対応した。Appleは、新しいMacBookPro上で動作する場合、ユーザーはワークステーションクラスのパフォーマンスを期待できるとしている。また、今年の夏にGarageBandで発売された新しいプロデューサーパックも搭載されている。
Final Cut Pro 10.6 の新機能
M1 ProおよびM1 Maxチップの最適化に加え、Final Cut Proにも興味深い機能が追加された。
iPhone 13のシネマティックモードビデオの編集
新しいiPhone 13のシネマティックモードで撮影したビデオは、Final Cut ProとMotionで編集することができる。ユーザーは、あらゆるショットの深度効果を調整したり、キーフレームを使って時間の経過とともに変化させることができる。ビューア内の顔やオブジェクトをクリックすると、フォーカスポイントの追加や削除ができる。
新しい2Dトラッカー
FCPとMotionには、多くのエディターに有用な2Dトラッカーが組み込まれている。洗練されたトラッカーの実装は、トラッキングと機械学習により、フレーム内のオブジェクトをロックオンする。タイトル、グラフィックス、ジェネレーター、ビデオクリップは、トラッキングされたオブジェクトに合わせて移動、回転、拡大縮小する。また、シェイプマスク機能を使ってエフェクトをトラッキングすることもできる。これにより、顔の色補正やナンバープレートのピクセル化などのトラッキングが可能になった。また、平面をトラッキングしてディストーションツールを使えば、壁にロゴを貼り付けたり、テレビ画面を変更したりすることも可能だ。もちろん、専用のプラナートラッカーの方が性能は上だが、タイムラインを離れることなくトラッキングできるのは素晴らしい。
連携
数多くのバグフィックスに加えて、高度なグローフィルターである「neon」という新しいエフェクトが追加された。FCPでは、サードパーティのアプリケーションがXMLやメディアファイルをFCPから取得できるようにサポートされている。これにより、frame.ioやKynoのようなアプリやサービスが編集プログラムと連携する可能性が広がる。
まとめ
Final Cut ProとLogic Proのアップデートで様々な機能が追加された。これにより、さらに安定感が増した。しかし不足している機能、期待している機能はまだまだ多くある。
価格と発売時期
Final Cut Pro 10.6は、既存ユーザー向けの無料アップデートとして、Mac App Storeで販売されている。新規ユーザーは36,800円。Logic Pro 10.7も、既存ユーザーには無料のアップデートで、Mac App Storeで24,000円で販売されている。
なおAppleのアニメーションソフト「Motion 5.6」とビデオエンコーディングアプリ「Compressor 4.6」(いずれもMac App Storeで6,100円)も既存ユーザー向けに無料でアップデートされた。