Vision Research Phantom S991は、Phantom Flex 4Kと同じセンサーを搭載し、最大9Gpx/sec(70Gbps)のスループットを実現する新しい高速度カメラだ。これは、9Mpxのフル解像度(4096×2304)で最大937フレーム/秒、低解像度では最大52,080fpsのフレームレートに相当する。
米国のVision Researchは、カメラ市場において興味深いポジションにある。高度に専門化した製品を作っていて、(ほとんど)競合がいない。同社の製品は、高速度カメラだ。Vision Researchは様々なカメララインナップを提供しているが、どれも高価格帯のため、所有するというよりはレンタル品という位置づけになっている。
実際、Vision Researchのカメラのほとんどは、専門家や産業用途、研究施設などをターゲットにしている。映画用として、Vision Researchのカメラに対抗できる最近の製品は、2020年10月に発表されたFreefly Waveと、2021年1月に発表されたChronos 2.1しか思いつかない。
Vision Researchは、高速画像キャプチャーの境界を広げる、または特殊なユースケースに焦点を当てた新しいカメラを発表している。今回も新しいカメラ「Phantom S991」が発表された。
Vision Research Phantom S991
Vision Researchの説明によると、Phantom S991はCoaXPress-over-Fiber(CXPoF)技術を採用し、最大9Gpx/sec(70Gbps)のスループットを実現することができる。これは、9メガピクセルのフル解像度(4096 x 2304)で最大937フレーム/秒、2304 x 16を含む低解像度(8ビット)で最大52,080fpsのフレームレートに換算される。最小露出は5μs。
興味深いことに、Phantom S991に搭載された9メガピクセルのセンサーは、Vision Researchの高速メディアカメラとして名高いPhantom Flex 4Kに採用されているセンサーと同じものだ。このセンサーは12ビット画像を提供し、ローリングシャッターとグローバルシャッターの両方を備えているため、さまざまなアプリケーションのニーズに対応することができる。このセンサーは6.75 µmピクセルを採用しており、モノクロで1,600、グローバルシャッターモードのカラー、400のデイライトISO定格で、より高い光感度を提供することが期待される。
さらに、Phantom S991は最新のマシンビジョンプロトコルであるCoaXPress-over-Fiber(CXPoF)により、非常に高いフレームレートとスループットを達成するように設計されている。CXPoFは、複数のCXP6銅ケーブルの代わりに、CXP12と光ファイバーを使用する。Phantom S990では16本の銅線ケーブルが必要だったが、Phantom S991ではわずか2本の光ファイバーケーブルで済む。
S991は、より大きな解像度でより高いフレームレートを実現し、データスループットを削減するために、8ビット出力オプションを搭載している。水平128×垂直8の解像度刻みで、必要なフレームレートに合わせて解像度を最大化することが可能だ。また、Phantom S991は、リモートブラックリファレンス用のメカニカルブラックシャッターやリモートフォーカス用のキヤノンEFマウントオプションなど、他にもユーザーフレンドリーな機能強化が図られている。
EVMA Data:
- QE @ 532 nm (%): 59.5 (G); 57 (R)
- Dark Noise (e-): 30.04 (G); 10.02 (R)
- Dynamic Range (dB): 55.8 (G); 68.6 (R)
カメラ本体の寸法は5x5x6.3″(125x125x159.7mm)、重量は3.2kg。ニコンFレンズマウントを標準装備しているが、オプションでキヤノンEF、C、M42、PLマウントを装着することも可能。アクティブクーリングを搭載しており、クワイエットモードでファンを無効にすることができる。マウントポイントは1/4-20″が6箇所、M5-0.8が16箇所ある。AC電源は、付属の80W 24V電源から供給される。
価格と発売時期
Vision Research製品の常として、新しいPhantom S991の価格に関する情報はない。価格に関する情報は、同社に直接お問い合わせいただきたい。