Vision Research(ビジョンリサーチ)は、高速度カメラのフラッグシップモデルであるPhantom VEO 4K PL、Phantom VEO 590S、VEO590Lを発表した。これらの新しく導入されたカメラを解説する。
Phantom VEOシリーズとは?
ビジョンリサーチは軍事用途の高速カメラや自動車クラッシュの分析用カメラを製作しており、画期的な技術で映画業界にも目を向けている企業だ。 2014年、ビジョンリサーチは、4K DCIフル解像度で1秒間に1000フレームの撮影能力を持つPhantom Flex 4Kカメラを導入したが、これはREDやARRIに匹敵する最高品質の4K RAWカメラとされている。昨年同社は、ARRI MiniやREDのようにコンパクトなVEOラインアップを発表した。小型軽量な設計は、プラットフォームの安定化やUAV(Unmanned Air Vehicle:無人航空機)への使用など、より多くの可能性をもたらす。これとは対照的に、Phantom Flex 4Kは本体のみで5kgの重量がある。レンズを追加し、フォーカス、ロッド、ファインダー、バッテリー、モニターなどを追加すれば、多くのジンバルで扱えない重量となってしまう。
Phantom VEO4K-PLとPhantom VEO590SおよびL
VEO4K-PLには、36 GBまたは72 GBのRAMが搭載されている。また、SDIとHDMIビデオ出力、PLマウントおよびOLPF(Optical Low Pass Filter)が黒い筐体に装備されている。また、2つのパフォーマンスレベルがあり、4k-PLは1000fps 、590SとLは、4Kで500fpsの撮影が可能。これまでのVEOモデルは、上級機に比べて画質の面で劣っていたが、590とPLモデルのフレームレートおよび全体的な映像仕様は今やFlex4K-GSと同じレベルとなっている。
2つのモデルの間には大きな違いはない。カメラの背面は同じだが、VEO 4K-PLのフロントハウジングはわずかに長く、4Kセンサーを収容するため、より大きなVシリーズレンズマウントを使用している。 キヤノンマウントは、Flex4Kのものと同じで、プラグアダプターが追加されている。 VEO4Kは他のCマウントと互換性がないため、新しいCマウントがこのカメラに対応するように設計されている。
ビデオ記録フォーマットとアナモフィック デスクイーズ
720P、1080i、1080p、および1080psfフォーマットはすべて60Hzまで使用できる。カメラ本体からの4Kビデオ出力は用意されていない。 VEO4KはデュアルHDSDI出力もサポートしておらず、すべてのビデオ出力は同等となっている。現在、アナモフィック・デスクイーズ(伸長)機能はサポートされていないが、今後のファームウェアアップデートでは特定の解像度で可能になる予定。
Phantom Flex 4Kとの比較
大きな違いはCineMagのサポートで、これはCFastよりもはるかに速い記録メディアだ。他のVEO-Sモデル同様、CFastでは最初にRAMに書き込んだ後に記録メディアに転送するという制限がある。Run/Stopモードはなく、CFastからのビデオ再生もできないが、これは、RAMからしか動作しないため。現在のところ、ProResのサポートも予定されていない。その他の違いは、4Kビデオ出力、わずかに低容量のRAM、カメラアクセサリー用の電源出力が無い点だ。
購入を決定する前に知っておくべきこと
VEOには現在、10GBイーサネットは搭載されていない。 CineRawファイルは、90MB/sのダウンロード速度しかないCFastカードに保存される。 CineRAWファイルで作業しているすべてのDIT(Digital Imaging Technician)は、これがプロダクションワークフローに適していないことを認識している。 800MB/sをはるかに超えるデータレートでは、1000fpsで5秒のショットで64GBの容量になる。 Vision Researchでは、カメラオーダーに「VRI-VEO-10G-OPT」という10GBイーサネットのオプションを提供している。現在2017年12月15日までに受注したものに対し、10Gオプションを搭載するプロモーションを提供中だ。プロモーション期間後、価格は3000ドルにアップする予定。
技術仕様
- 35mm 9.4メガピクセルセンサー
- グローバルシャッター(ダイナミックレンジを拡大するローリングシャッターに変更可能)
- 4K-990モデルは4096×2304で最大938 fpsをキャプチャ可能。 4096×2160で1000fps。
- 1975 fps、2048 x 1080
- 10Gb Ethernetオプション
- サイズ: 12.7 x 14 x 15.2 cm 2.8 kg
- HDMIおよび3G-SDIビデオ出力
- VEO4K-SおよびPLモデルには、CFast、カメラ上のコントロールおよび二次電池入力が含まれている
価格と発売時期
価格は6万ドル以上の予定。出荷は、4~6週間後に始まると予想されているが、9月末までに出荷される可能性もある。