キーグリップ(Key Grip)の仕事とは?
キーグリップ(key grip)とは、ドリーやクレーンなど、主に大型の撮影機材を管理する責任者だ。驚くようなアングルのショットや、思わずどうやって撮ったのかと思うようなショットも、グリップたちの手にかかっている。今回はそのキーグリップのJake Reeder氏にインタビューを行った。
さて、キーグリップの仕事について、簡単に触れておこう。彼らは重いカメラがセットされた台車を押すだけではない。キーグリップは、各部門をまとめる、いわば撮影における接着剤でもあるのだ。
キーグリップの仕事
キーグリップの位置付けで、よく誤解されているのは、撮影時の命令系統だ。それは、監督(Director)⇨ 撮影監督(DoP)⇨ 照明監督(Gaffer)⇨ キーグリップではない。照明監督とキーグリップは実際には同じレベルにあり、監督と撮影監督のビジョンを実現するために連携を図る重要なポジションだ。
カメラを目的の位置に配置する方法、リムの上にライトを配置する方法などを立案するのは、キーグリップが照明監督などとともに行う作業だ。照明監督とキーグリップは連携して実現するだけでなく、キーグリップは安全性の面でも責任を負っている。下はJake Reeder氏の言葉。
照明監督は撮影監督のイメージを実現するために取り組み、キーグリップはそれを可能にするために取り組みます。それが不可能な場合は、別の方法を考え出します。
大規模な撮影現場ほど、セットアップは複雑で洗練されたものになる。巨大なライトを大勢の人々の頭上に吊るすのは危険なことであり、キーグリップはセットが適切に機能し、かつ関係者の全員が安全を確保する必要がある。照明監督の仕事は、監督と撮影監督のビジョンを実際の照明手法に変換することであり、彼はすべての電気関係にも責任を負っている。ライトを適切な場所にセットするため、グリップ部門と協力して作業を進める。
グリップはライトの制御も担当しており、フラグ、スクリム、バウンス、ディフューザーなども設定する。キーグリップはこれらも含めて、安全面の責任を負っている。
カメラ設営
多くの人はカメラの設営がグリップ部門の主な仕事であると思っている。しかし、キーグリップがカバーしなければならない主要な分野はそれだけではない。
カメラの設営、カメラの動き、カメラの安全性はすべてグリップ部門の手に委ねられている。専任のカメラオペレーター、ステディカムオペレーター、またはカメラを操作する撮影監督に、グリップ部門のメンバーは常に付き添っている。
カメラに関することであれば、グリップも参加します。
とJake Reeder氏は語る。砂漠の真中でカメラクレーンを設営したり、階段でタレントを追跡しながら上に移動するようにカメラを動かすといったことは全てグリップが行う。
グリップになるには
グリップに必要なのは体力だけではない。もちろん体力も必要だが、仕事への取組みも重要だ。自分がやっていることを楽しむ必要がある。そしてもちろん、カメラをA地点からB地点に動かすだけに見えるショットも、それは安全性、他部門との調整など、すべてが完了したうえでのショットなのだ。
グリップ部門のスタッフは創造的である必要があり、どのような場所でもカメラや機材をセットする方法についてのアイデアを考え出す必要がある。それにより、映画やコマーシャル、ミュージックビデオなどの美しい作品が完成するのだ。キーグリップとそのスタッフがいなければ、息をのむようなショットは実現しない。