LUTを正しく理解しているだろうか?多くの人と話して、LUTの意味が間違って理解されていることが結構多いように思う。
LUT、即ち“Look Up Table”は、RGB入力を別のRGB出力に変換する、簡単な仕掛けだ。
LUTはしばしばあるカラースペースから別のカラースペースへの変換に用いられている。LUTはまた、カラーグレーディングにおいて“ルック(Look)”という言葉で表現されているカラースペースの調整にも用いられる。また、カスタムLUTは好みのルックでプレビューしたり、現場でのカメラモニター用に直接グレーディングするのに用いられる。
LUTには1次元LUTと3次元LUTがある。1次元LUTは単一チャンネルに対応するのに対し、3次元LUTは3つのカラーチャンネルが組み合わされた立方体のようなマトリックスだ。
通常我々が言っているLUTは、この3次元LUTである。
次に、カラースペースも重要なので、これについても説明しよう。
カラースペース
カラースペースは色を数値化したもので、ディスプレイや撮影機材などの色表現領域を明記する手段として使われている。またそれは映像処理におけるインダストリースタンダードでもある。
我々が通常“カラースペース”と言っているのは、パントンカラーチャートのような色見本的なものではなく、絶対的なカラースペースに基づいた特有のカラーモデルやマッピングである。
基準となる絶対的カラースペースは、各個のカラーモデルやマッピングが“ガマット(Gamut:色域)”と呼ばれるフットプリントを持つのに対し、可視色の全てを包含している。ガマットが広ければ広いほど、可視色領域内の更に多くの色がそのカラースペースに含まれるということになる。
即ち、あるカラースペースから別のカラースペースに数値を変更ことで映像データを変換される訳だが、ここにLUTが使われているのだ。
RGB値のマッピングとトランスフォーミング
LUTやカラースペースについて語る時、共通に使える尺度がある。それはマッピングやトランスフォーミングのRGB値だ.
ただ、入出力の組み合わせの」座標セットを全て考慮すると、3次元LUTは膨大なデータ量になってしまう。そこで代わりに、一定数の座標点(通常は17個づつと、それらの補完ポイント)が使われる。
本質的には、LUTはRGB入力に対するRGB出力を記した一覧表にすぎない。もちろん更に深く掘り進めばもっと複雑なことになるが、ここに述べた基本的な理解だけでもポストプロダクションなどでLUTを正しく使う上で役に立つだろう。