フィンランドの会社、ホワイトポイントオプティクスは、Hasselbladのレンズを使用してカスタムメイドのシネマレンズを製作している。
ほとんどの映画制作に使用されるフォーマットの1つがSuper 35mmで、これはAPS-Cに非常に近いセンサーサイズを持つ。しかし、Super 35mmフレームよりもはるかに大きなイメージサークルを持つフルフレームレンズを使用することもできる。この場合、Metabones Speed Boosterのようなアダプターを使用してレンズを最大限に活用することができる。今後シネマカメラのセンサーが大きくなる傾向があるが、次のステップは何だろうか?
Whitepoint OpticsのTS70シリーズ
フィンランドのWhitepoint Optics社は、巨大なイメージサークルを生み出すシネマレンズ、TS70シリーズの製作を開始した。下のチャートで、RED Vista VisionやARRI ALEXA 65との比較が分かる。
TS70シリーズは82mmのイメージサークルを持つが、これは最高級の中判フォーマットレンズメーカーであるHasselbladの光学系を使用している。同社は、しかも普通のレンズではなく、シネマレンズ用にヴィンテージハッセルブラッド光学系の採用を決定した。 Whitepointによれば、これは60年代のApollo計画で使用されたのと同じ光学系だそうだ。
光学設計のもう1つの特徴は、チルトスイングシステムの実装だ。この機構は、最大9mmのチルトができる。さらに、レンズは10枚の絞り羽根を持ち、滑らかなボケを作ることができる。
TS70シリーズは合計9枚のレンズで構成され、航空機グレードのアルミ鋼製で、フロント径は114mm。全ラインアップのうち、現時点では、30mm、40mm、60mm、80mm、100mm、120mmが発売済みで、150mm、250mm、500mmが今後数か月で発売される予定だ。 マウントは、EF、PL、Eが用意される。
レンズのTストップは、T2.8からT5.6とさまざまだが、中判の世界では、それらのアパーチャ値は考えているよりも明るい。上記の焦点距離もクロップファクターを考慮したものではない。下記の比較チャートを参照して、シネマフォーマットと比較することができる。
上の表の見方:自分のカメラがRED Vista Visionの場合、super35mmで18mmなのでこれと同等の視野角を得るには、Whitepoint Opticsの30mmのレンズを選択する。
これらのレンズは少しニッチに見えるかもしれないが、すでにNetflixの長編映画、Joshua Mashtom監督のHeretics(Come Sunday)とDavid M Rosenthal監督のHow It Endsの制作で使用されている。
Whitepoint Optics TS70シリーズは、1日あたり200ドル程度のレンタル料だ。しかし、Leica Thaliaより安価にIBCで販売されるかもしれない。詳細については、whitepointoptics.com にメールで問い合わせるか、同社のウェブサイトにアクセスして欲しい。
大きなカメラセンサーが普及し、解像度が高まるにつれ、レンズはそれに追随し始めるだろう。そして中判フォーマットでもスピードブースターのようなアダプターが出現するかもしれない。