Z CAMは中国の深圳に拠点を置く中国メーカーで、前回のNABで6K / 60fpsの E2-F6と8K / 30fpsのF8を発表した。出荷は2019年10月に予定されているが、これに先だって予約販売が開始された。更に6K / 75fpsの Z CAM E2-S6が発表されたが、これはダイナミックレンジ、RAW、その他多くの注目すべき機能を内包している。
Z CAM E2-F6 - フルフレーム6Kシネマカメラ
Z CAM E2-F6はフルフレームCMOSセンサーカメラで、広く使用されているEFおよびPLレンズマウントに対応する。価格は5,000ドル弱。前モデルのE2 4KカメラのMFTセンサーから脱皮し、ダイナミックレンジ選択も可能としてWDRセンサーは使用していない。
F6は、ダイナミックレンジが15stopに達し、ギガビットイーサネット接続を介して制御可能で、同じケーブルでライブストリーミングも可能だ。センサーは、400 ISOおよび2500 ISOのデュアルネイティブISOをサポートしている。
このカメラは、6Kで最大60fps、4Kで120fpsの撮影ができ、最大300Mbps(H.264とH.265)でCFast 2.0カードに記録する。フレームレートは、アスペクト比が2.4:1で、色深度10ビットのシネマスコープのみ可能。残念ながら、10ビットの記録は4:2:0カラーサブサンプリングのみだ(H.265およびH.264でも同様)。
この記事を執筆時点で、同社のホームページの表には、ZRAWがサポートされていると記載されているが、内容は空のままだ。ビット深度(10ビットの可能性が高い)やカラーサブサンプリング、Mbpsなどの詳細情報は明確ではない。
利用可能な解像度と最大フレームレートは以下の通り。
- 6244×4168 @30fps max (6K Open Gate)
- 6144×3240 @48fps max (DCI 6K)
- 6144×2592 @60fps max (DCI 6K 2.4:1)
- 5760×3240 @48fps max (6K UHD)
- 5552×4164 @30fps max (5K 4:3)
- 4992×4160 @30fps max (5K 6:5)
- 4096×2160 @72fps max (DCI 4K) *
- 4096×1728 @120fps max (DCI 4K 2.4:1)
- 3840×2160 @72fps max (4K UHD) *
- 3840×1620 @90fps max (4K UHD 2.4:1)
- 1920×1080 @120fps max (FHD)
* Cropping / Supersampling selectable.
Z CAM E2-F8 - フルフレーム8Kシネマカメラ
F6とは異なり、一部の機能は注目に値する。F6のセンサーが37.09 x 24.75 mmなのに対しF8のセンサーは35.97mm x 23.99mmとわずかに小さい。 F6の最大解像度は6244x4168px(6Kオープンゲート)で26メガピクセル(26,024,992px)だが、F8の最大解像度は8192x3456px(DCI 8K)となっている。F8のセンサーは約28メガピクセルだが、最近発表されたソニーのα7R IVと同様、61メガピクセルにブーストできる。これ以外に、F8のダイナミックレンジは14stopで、F6の15stopに比べて少し低くなる。
最も注目すべき違いは、F8の解像度と最大フレームレートだ。
- 8192×3456 @30fps (DCI 8K 2.4:1)
- 7680×4320 @30fps (8K UHD)
- 6144×3240 @30fps max (DCI 6K) *
- 5760×3240 @30fps max (6K UHD) *
- 3840×2160 @30fps max (4K UHD) *
* Cropping / Supersampling selectable.
リストが完全でないのは、現在利用できないか不明であることが理由だ。クロップファクターの詳細、ラインビニングに関しても同様だ。このセンサーが表示されたすべてのフレームレート(QFHDでも)で最大30fpsしか処理できない理由と、60fps、10ビット、4:2:2で同時に4KのHDMI 2.0 Type-A出力を表に示している理由も不明だ。これらについては現在Z Camに問い合わせ中。
Z CAM E2-F6 と F8の共通機能
注目されることの1つは、F6とF8が、前モデルと異なり「Apple ProRes認定」と表示されていないことだ。このことは両方のカメラにProRes 4:2:2(HQ、Standard 422、LT、およびProxy)録画オプションがないことを示している。これらの機能は、E2 4Kのユーザーに高く支持されていたものだ。 Z CAMに問い合わせると、将来、内部記録でProRes 4:2:2/6K以下のライセンスを取得する予定とのことだった。また、6K RAW @ 30fpsにも取り組んでいる。しかし現在のところ、実現時期については明らかにされていない。
どちらのカメラもexFAT形式でのみCFast 2.0カードに記録でき、HDMI 2.0 Type-A(10ビットで最大4 @ 60 fps、最終的に4:2:2のビデオ出力が利用可能)で接続できる。USB 3.0 Type C(データ転送、カメラ制御)、2x COM-ポート、2.5mm ソニー LANC互換リモートコントロール、3.5mmステレオオーディオ入出力も搭載。また、プロユーザーにとって非常に便利な機能はデュアルチャネルXLRマイク用の5ピンLEMOポートで、24ビット48kHzオーディオを記録できる。更に5GHzのWiFi 802.11n(外部アンテナ)(E2 4Kの2.4GHzからの改良)も利用できる。
Z Cam E2-F6のサイズは4Kと同じだが、F8の奥行きは10cm大きく、わずかに大きくなっている。通常のビデオ録画とは別に、両方のカメラは、タイムラプスビデオとスポーツRec.709、FLAT、HLG、およびZ-Log2ガンマカーブを備えており、E2 4Kと同様にオートフォーカス、マニュアルフォーカス、連続オートフォーカスも選択できる。
Z CAM E2-S6 - super35mm 6Kシネマカメラ
同社のWebサイトに既にアップされている Z CAM E2-S6も予約注文可能だ。 価格は2,995ドルで、F6モデルとの主な違いは、23.4 x 15.67 mmのsuper 35mm CMOSセンサーを採用しており、同じ有効ピクセル数で14stop(1ストップ未満)のラティチュードを持つ。またもう一つの重要な違いは、特定の記録解像度で利用可能な最大フレームレートだ。下は E2-F6と比較した E2-S6で利用可能なフレームレート。
同じ解像度とフレームレート
- 6244×4168 @30fps max (6K Open Gate)
- 6144×3240 @48fps max (DCI 6K)
- 5760×3240 @48fps max (6K UHD)
- 5552×4164 @30fps max (5K 4:3)
- 4992×4160 @30fps max (5K 6:5)
- 1920×1080 @120fps max (FHD)
相違点
- 6144×2592 (DCI 6K 2.4:1):
- F6: @60fps max
- S6: @75fps max
- Only S6: 4096×2160 @30fps max (DCI 4K Low Noise) *
- 4096×2160 (DCI 4K) *:
- F6: @72fps max
- S6: @75fps max
- 4096×1728 (DCI 4K 2.4:1):
- F6: @120fps max
- S6: only @100fps max (筆者メモ:最大フレームレートが異なるすべての解像度は、S6でより高いフレームレート機能を持つ。この理由は不明。)
- Only S6: 3840×2160 @30fps max (4K UHD Low Noise) *
- 3840×2160 (4K UHD) *:
- F6: @72fps max
- S6: @75fps max
- Only F6: 3840×1620 @90fps max (4K UHD 2.4:1)
* Cropping / Supersampling selectable
価格は、 Z CAM E2-S6は2,995ドル、Z CAM E2-F6は4,995ドル、Z CAM E2-F8は5,995ドルで予約注文が可能。アムステルダムで開催されるIBC 2019で出展される予定。
同社のWebサイトはこちら。