ツァイスが新しい軽量シネマズームレンズ、LWZ.3 21-100mm を正式発表した。T2.9からスタートし、長いスパンでT3.9まで変化する。
LWZ.3の試作品がドキュメンタリー番組“ Through the Thick ”の収録で使用された。
LWZ.3はドキュメンタリー用の究極のレンズか?
シネマズームとしてはかなり小型軽量で、重量は2Kgなので、自分にとっては、完璧なドキュメンタリー用ズームと思っている。 “Through the Thick,” という密猟取り締まりを扱った番組で試作品を使用して、そう感じたのだ。
ドキュメンタリーカメラマンは世界中を飛び回り、FS7やC300を使用して取材するが、レンズの選択はいまだに間違うことがある。特に17-55、24-70、あるいは70-200mmといった写真用のズームレンズの場合だ。急に撮らなけらばならないような場合、レンズを交換している暇がないが、これはラージセンサーのカメラで撮る場合の良くない点だ。大きなレンズでも同じと言える。
LWZ.3は信頼性、重量、大きさ、スピード、マウントをバランスさせたレンズだ
LWZ.3は21-100mmのズーム域を持つが、これはドキュメンタリー撮影には十分な広角域だ。(まあ、もう少しワイドだとかなり違ってくるのだが)また、望遠域も、ものすごく遠くを狙うので無ければ、これで十分だ。
従来のフルフレーム用コンパクトプライムとかコンパクトズームなどツァイスのシネマレンズとは異なり、このレンズはsuper35mm用だ。super35mm以上のセンサーを持つシネマカメラは存在しないので、これはこれで問題ないだろう。Super35mm用に特化することにより、小型軽量化(長さは226mm)されるのも大きなメリットだ。
ズーム端で1stop暗いのは、自分にとっては問題ではない。ただ、キヤノンの18-80のようにT4.4のレンズよりは、T2.9から始まりズーム端で1stop落ちている方が好みだ。その1stopで重さが数百グラム軽くなるなら、こちらの方が断然良いのだ。
特に、リアルタイムなドキュメンタリーのアクションショットでは、このレンズをFS7にVocasのPLマウントアダプターを介して装着している。他の多くのツァイスのシネレンズ同様、 LWZ.3はInterchangeable Mount System(IMS)を採用しており、PL、EF、E、F、MFTといったマウントに交換できる。1月の撮影では、このレンズの試作品をPLで使用したが、アダプターを使ったのは、これが理由だ。
適材適所
ドキュメンタリー用のレンズとして各メーカーから多くの安価なズームレンズが発売されているが、全てをズーム域をカバーしたり、オプションを付けたりして、大きく、重くなってしまう場合がある。例えばフジノンのCabrioシリーズ(高価だ)やキヤノンの17-120サーボズーム(すごく高い)は素晴らしいレンズだが、通常のドキュメンタリーでは、レンタルだとしても対象外だ。キヤノンは18-80のシネサーボズームレンズをNABで発表したが、このレンズのT4.4通しと言うのは、創作性の理由からも、実用性の理由からも、あまり適しているとは言えない。 LWZ.3はツァイスのレンズとしては、驚くほど安価だ。レンタル価格は$10K以下なのだ。
まとめ
このレンズは確実にマーケットにインパクトを与えるだろう。またその使い勝手の良さは他に類を見ない。唯一欠けているのは、レンズのサーボユニットである。ただツァイスは以前からこれをズームレンズ用にテストしているし、もうそろそろ最終段階だろう。サーボユニットをオプションで用意するというのはコストを抑える効果もある。
後日、南アフリカでこのレンズを使用したフルレビューをお送りする予定だ。